俺様彼氏はShy Boy?
本当は言ってやりたいことが山ほどあるのに。
もういいや、とさえ思ってしまう自分が情けない。
でも……好きなんだもん。
あたしには、海斗だけしか見えないんだもん。
熱を帯びた瞳で海斗を見上げれば、勝ち誇ったような顔であたしを見下ろす。
「はい、その顔禁止!」
「えっ…」
「その顔で、他の男誘うなよ?」
厭味ったらしい笑み。
でも、その言葉とは裏腹に余裕たっぷりなその笑みに。
「だ、誰が誘うか!!」
海斗じゃないんだから、馬鹿なこと言うな!と。
ドンと海斗を押し飛ばして、その勢いのまま海斗の脛に思い切り蹴りを入れてやるも。
その効果、なし。
睨みつけるあたしを見下ろして。
「何、誘ってんの?」
「は?」
「ったく、しょうがないなぁ」
もう一度あたしを引き寄せようと伸びてくる腕は。
「海斗の馬鹿!」
あたしの罵声と共に、パチンと叩かれる。
叩かれたことに少しは驚いたのか、一瞬だけ動きの止まった海斗をもう一度突き飛ばして。
「この浮気男!!」
その言葉を残して、逃げるように非常階段をあとにした。