RE. sEcrEt lovEr
「分かってんの?あいつ、文系教科に関しては小学生以下だぞ?」

知ってるよ、黒船で来たのもキリスト教伝来も『マルコポーロあたりじゃなかった?』なんて珍回答してたもん。

“あたり”じゃニアピンでもなければ、三角ももらえない…

「でもお医者さんなら理数系はきっと大丈夫だよ!それに英語もペラペラでしょ?」

「やる気出るまでに時間かかるから、提出期限は確実に過ぎるな」

ありえる。オフの日は動き出すまでのロスタイムがやたら長いもんね、常にお疲れだから仕方ないけど。

「…来年も貴を留学先から召喚するね」

そして、結果こうなる。

「自分でやろうという気はないのか」

貴がいない生活なんて想像ができないんだもの…

ぶつぶつ言いながら問題集に目を移す貴をぼんやり見つめる。

甲ちゃんの思いつきに振り回されるあたしを貴が軌道修正する、そんな日常も来年は もう来ないのかもしれない。

甲ちゃんの暴走を制御できるのも貴だけなのにと、言い訳をしながら自分の気持ちに蓋をする。
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