よるのむこうに
「迷惑だったとしても、それ以上にお前が他の男を家に引き入れんのは我慢ならねえ」
「いや……引き入れないでしょ、こんな体で……」
「……嘘つけ。足も痛ぇ、指も痛ぇじゃどうしたって誰かに頼りたくなるだろ。
俺以上のカスに目ぇつけられて、お前、自分で自分を守れるわけ?
贅沢言わねえで俺で我慢しとけ」
私はあまりにも彼の言葉や態度がまっすぐなので恥ずかしくなってうつむいてしまった。
そんな私を見て彼は親指をたててにっこりと笑った。
「よし、そうと決まったら風呂行くぞ風呂」
それを聞いて私は少し後ろに下がった。が、天馬の瞬発力は動物並みだ。一瞬にして腕をつかまれた。
「え、ちょっとヤダいっしょには入らないよ?何考えてんの?ちょっと引っ張らないでったら痛い!」
「あーもう、うるせえな。いい大人が風呂嫌いかよ」
「風呂が嫌いなんて誰がいつ言ったのよ、バカなの?ねえバカなんでしょ!」
「めんどくせえ女だな……。風呂っつったら介護の定番だろ。まかせろ」
まかせられるか!!
まだ私は自力でお風呂に入れるし「風呂=介護の定番」というのもよくわからないし、そのうえ今の天馬からなにやらよこしまなものを感じる。
私は咄嗟に逃げようとしたが、それを察した天馬は私をひょいと肩に担ぎあげた。