よるのむこうに
きれいだな。
生きているって、いいことだ。
今、ここにいなければ私はこの景色を見ることはなかったんだな。
そう思うと、今自分自身が天馬と並んでここにいることが奇跡のように思われてくる。
今も体はあちこちきしむし私は無職だけれど、それでも人生は小さな奇跡と大きな奇跡で美しく絡み合い、先へ先へと続いていく。
苦しみ、不自由な体で恥をかきながら生きても、それでも今、生きて天馬と同じものを見ているということがとても美しいことだと思える。
どんなに深い闇の中に落ちてしまっても。
希望なんてもうひとかけらも見出せないほど傷ついても。
いずれこの人を失ってしまうことになっても。
それでも人生は美しい。
この指先の温かさを、この空の眩しさをしっかりとおぼえている限り。
夜明けがすぐそこに迫っている。
何度長い夜が私を包んでも、夜の終わりは必ず来るのだ。
そしてまた何度も夜は私を包むだろう。
人は生きている限り、夜を避けて生き続ける事はできない。
でも、必ずこんな美しい夜明けが夜を追いかけてくる。
甘い紫と光の筋が織りなす美しい夜明けが。
それさえ信じていられたら、夜は決して怖いものではない。
そんな確信が私を満たしていた。
2016.5.26 END

