よるのむこうに
「聞いた事がないかもしれないけど、リウマチっていう病気なの。
治るか一生療養しなきゃならないのか、まだわからない……。でも、今は薬では病気を止められてない。いろいろ試してるけど、だめみたい。
そんなの天馬に背負わせたくない。だから、天馬と一緒に住むのはもうやめにしたいんだ」
「どうして。頼ればいいだろ、恋人なんだから。
病気になったからって縁を切るのどうのって話になるほうが変じゃない?病気は愛情に直接関係する話じゃないだろ。
あいつが君の気持ちをないがしろにしすぎるから捨てるって言うならわかるよ、俺だって何度も放り出してやろうと思ったから。でもそういうのは駄目だ、誰も納得できない」
彰久君は私の選択に怒っているように見えた。
私はうつむいたまま首を横に振った。
そうじゃない。風邪やインフルエンザだったら私だってここぞとばかりに天馬をパシリにしたかもしれないが、そういうレベルの話ではないのだ。
治るか治らないかわからない、下手をしたら一生付き合っていかなければならない病気を抱えた私のために天馬を縛ることはできない。そういう話なのだ。
「私の病気は、どんどん体が不自由になっていく病気なの。いずれは介護が必要になるかもしれない。
でも、天馬に不自由な私を背負ってとは言えない。
そんな義理、ないじゃない……。私、たぶん天馬の彼女とかそんなんじゃないから……」
彰久君はグラスを口元に近づける手を止め、大きな瞳を見開いた。
「え、付き合ってないんだ?」
「……うん」