茉莉花茶
席に着いて、
しばらく放心した。

そうか、
結婚…。

そういえば、
なんかくだらない話ばっかしてたな。
腕の毛はムダ毛かどうかとか。
可愛い顔して、案外毛深いのかな…。
趣味のカメラはどうするんだろ。
まぁ結婚しても続けるんだろ。

あとどんな話してたっけ…

気付くと俺は、
必死で二人の想い出を探していた。

運ばれたジャスミン茶を啜る。

清涼感の中に色気のある、香り。


『……忘れないでね。』


ふいに、彼女の最後の言葉が脳裏を過ぎった。

その瞬間、俺は左手で鼻ごと口を覆って、その言葉の意味に気付く。

目から何か溢れ出す。

それは大量で手だけでは間に合わず、俺はテーブルにうつ伏せて、
喉の奥をせり上がる声を殺した。

これは、
何かの呪いみたいなもんだと、
独りごち、泣いた。
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