運命の人はいない
『帰りたくない』

両手を学ランのズボンのポケットに入れ
ワックスでツンツンにスタイリングされた髪

焼けた肌に切れ長の目。

私は、自分が真面目な中学生だった事を、
一瞬で悟った。

私立の高校だからかな、
ネイビーの学ランが同じ高校の男子より
大人にみえる。

今までに会ったことのない
"やんちゃ"な雰囲気が私の心を
鷲掴みにして放さない。

やや前傾姿勢に
私を覗き込んでくる よしき。

私を安心させるためかニコッと
ときおりみせる表情が
同じ15歳とは思えない。
 
『どこ行く?』
よしきが私に聞いてきた。

『えっっと、プリクラ撮りたいな』
と伝えた。


『じゃあ、とりあえず名駅行こっか』


そのまま二人で電車に乗った。
これが、初めて よしきと乗る電車だ♪

乗った電車は 横並びの座席だった。
彼は、空いてる席に座った。
そこは優先席だった。
私は、少し思うことはあったが乗ってる人が
みんな座っていたので、よしきのとなりに
座った。

よしきは、学校のカバンを床におき足を組んで
壁にもたれかかるような姿勢だった。

私はすぐ横で、お気に入りのカバンを膝におき
緊張して背筋がピッと伸びてた。

『姿勢いいね』
とよしきは言った。


目的の名駅には15分もしないうちに到着した。

電車の中では、ほとんど話さなかった。
なんせ、紹介してもらってメールを始めた
記念日が4月20日、そして今日が4月25日。

たった、5日間のうちに、メールは200回は
してる。聞きたいことは全部に近いくらい
聞いた。そして、答えた。

今聞きたいことは、たったひとつ。



(会ってみて私の事どう思いましたか?)



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