彼の優しさ 番外編

大型連休前、わたしはレポート作成で机に向かっていたらスマホがなった。

………祐?

「もしもし?」

『藍、今大丈夫か?』

「うん。大丈夫だけど?」

『実は、学校で仔猫が捨てられて居たんだけど、生徒や教職員に呼び掛けても引き取ってくれる人が居なくて、』

「……仔猫を引き取りたい、と言う事?……アズサが嫌がらなければ、わたしは大丈夫だけど。」

『そうか。ありがとう。』それから色々とたわいない話しをしてから電話を切るとさっきまで毛づくろいをしていたアズサは『呼んだ?』みたいな顔をしてる。

「ねぇ、新しい猫ちゃんが来るとしたら、アズサはどう思う?」アズサを撫でながら聞いてみた。

アズサは『ふーん。どっちでも良いよ。』と言う感じであくびをした。

後日、新しい猫ちゃんが来ると言う事で物置部屋と化していた部屋を片付け始めた。

片付けて、掃除してと忙しくしていたら仔猫をつれてくる日になった。

準備を整えて、アズサと遊びながら連れて来てくれる祐を待っていると玄関の向こうで金属同士が擦れる音――祐が使っている鍵特有の音がして玄関まで行くとちょうど祐が新しい猫ちゃんが入っているキャリーを持ちながら部屋に入ってくる所だった。

「お帰り、祐。」

「ん。ただいま、藍。」わたしはキャリーをちらっと見てみると猫の品種が分かった

「この子、マンチカン?」

「後、アメリカンカールらしい。」……でも、

「捨てられた原因は恐らく耳が曲がっていなかったからじゃないか?という獣医師の話だったな。」全く意味わかんねぇ、と毒づいてる。
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