彼の優しさ 番外編

「麻美、静かにしないか。外まで聞こえていた。」振り返ると父さんがスーツ姿でいた。

「お帰り。」


「ただいま。…で麻美が騒いでいた理由は?」

「お兄ちゃんが土曜日に彼女連れて来てくれるって言ってしかもその相手が藍ちゃんなんだもん。驚くよ!」

「藍ちゃん?……随分と懐かしい名前が出てきたな。藍ちゃん、今幾つだ?」

「二十歳。」

「久しぶりに俺も会おうかな。」……全員参加かよ。

「何だったら土曜日にうちに藍ちゃんを泊めちゃう?」

「無理だな。藍の家には猫が2匹居て長時間の留守なんて…言っとくけど猫も泊めちゃえば?なんて言うなよ?知らない家に泊まる、なんてしたら猫のストレスが計り知れない。」

「え~」麻美が騒いでいるがスルー。

「止めんか。藍ちゃんだって祐を除けば10年近く会って無いんだ。藍ちゃんだってかなりのストレスだろう。」父さん、ありがとう。

「じゃあ、決定ね?藍ちゃんは土曜日に家に来て、お昼をみんなで食べる。それで良いわね?」母さんのジャッジが下った。



ー俺の部屋ー

『分かった。ありがとう祐。』

「いや、麻美はダダ捏ねると収拾が着かなくなるからあれで良かったと思う。」クスクスと笑う声が電話越しに聞こえる。

『あーお姉ちゃん、変わってないみたいだね。なんか安心しちゃった。』

それからたわいない話しをしてから電話を切った。

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