誠の誓い
男が店を出ると




「大丈夫か?」


「いつものことですよ」



心配する永倉に、素っ気なく答えた



「あっちに行ってから、報告がないな」


「斎藤さんにも同じこと言われたけど
間者として疑われているから
仕事から外されて、暇なんです
情報は、ないし
こうして、鶴里と遊んでますって
わざわざ報告することか?
斎藤さんだって、間者の疑いがある
副長が2日に1回報告しろって言うから
まともにそうする人だ
俺が廻りに、上手いこと説明してんだぞ!
おまけに、新選組とやたらすれ違う!
尻拭いしてる俺の身にもなれよな!」





言いたいことを言い終わると

プイッと顔をそらす




「不満だらけだな…」


「お前のせいだろ!」


土方をジトッと睨む


「悪い クククッ」



しばらく、唖然としていた永倉が



「この前は、ありがとうな!助かったよ」


「いいえ
通りがかったついでです」







「お待たせしました」



鶴里が戻ってくると

土方と永倉をそっちのけで

先ほどまでと、打って変わり

ニコニコと話始めた



「鶴ちゃん!うちな、ええもんあるんよ
ほら!コレ持ってたら、願い事叶うんやて!
鶴ちゃんにあげる!」


「桜の花びらやん!
コレ持ってたら恋が叶うんやろ!?」


「恋?斎藤はんは、願い事って言うてたけど?」


「男はんは、これやからな!
手のひらで桜の花びら掴んだら
恋が叶うんやで!」


「そうなん?
まぁなんでも願ったらええわ!
2つあるから、はい!どうぞ!」


「おおきに!
あ!それで、お揃いの巾着袋?」


「ふふっそうや!」


「嬉しいわ!千代ちゃんおおきに!」






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