彼氏の好きなヒトになる方法



「もしかして知り合いなの?」

「あ、いや、知り合いっていうか……」


マナミとサトシくんが、私と三谷くんを交互に見て、不思議そうな顔をする。



まさか、こんな形で再会するなんて。




「昨日、偶然会ったんだよ」




落ち着いた顔した三谷くんが言った。


サトシくんが「へえ」と面白そうな顔をする。



「俺がパスケース落として、それを拾ってもらった」



うん。間違ってない。


ただ、私がひとりみっともなく泣いていたところに俊くんが偶然居合わせたこととか、涙でメイクが落ちたひどい顔を見られたこととか。


つまり、できればもう二度と会いたくないなと思うようなシチュエーションだったことが抜けている。


三谷くんはあのとき私を見て驚いた顔をしていたけど、もしかしてあれは今日会う予定の私だって気づいたからだったのかもしれない。




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