彼氏の好きなヒトになる方法



……めちゃくちゃ視線を集めている。



そりゃそうだよな。あのトレーに載ってるドリンク2つだもん。絶対彼女連れだと思われてる。


彼はきょろきょろと辺りを見回している。私は意を決して席を立つと、俊くんに向かって手を振った。


俊くんは私に気づくと、こちらへ歩いてくる。


視界の右端に見えた女性は私を見て眉をひそめ、左側に見えた女性はいかにもつまらんという顔で彼氏との会話に戻った。ええい、よそ見するな。自分の彼氏だけ見とけ。



「お待たせ」

「ううん、ありがと〜!」


いや、他人のことなんかどうでもいい。


愛する彼氏が帰ってきたんだ。今の私の目は彼氏を見つめるためだけにある。


俊くんが持ってきてくれたドリンクにストローをさしていると、俊くんが気遣わしげに私を見た。



「……大丈夫?しんどくない?」

「え?あ、うん!大丈夫だよ。座って結構楽になったし。本当ありがとね〜」

「……そっか。……あの、ごめん。バスに乗った時からずっと立ってたのに、全然休憩挟まなくて」



俊くんは何故か申し訳なさそうな顔をした。えっ?




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