背伸びして、キス


それにしても。
一華のあの無防備さはどうにかならないのか。


上着を羽織るでもなく、水着姿でビーチに座る。


俺は、飲み物を買いに少し離れていて、遠目に一華の姿をとらえた。
周りにいる男がチラチラと一華を見ている。


一華本人はその視線に全く気付いていない様子。
・・・気づけよ!



歩く歩幅を広げ、一華の元に戻るといったんペットボトルを下に置き、自分が羽織っていたパーカーを脱いだ。
そのパーカーを一華の肩にかけて周りの視線から隠した。



「・・・一条さん?」

「それ、着てろ」

「え?」

「いいから、着てろって言ってんの」

「・・・はい」



首をかしげながらも、袖を通していく。
・・・世話が焼ける。



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