背伸びして、キス
海は思いの外楽しく。
はしゃぐ一華にのせられながら海に入ったり海の家でご飯を食べたりと充実していた。
「一条さん、私すごく楽しいです」
「・・・そうか」
「はい。でも、私ばっか楽しんでるみたいで・・・。私、もっと一条さんに好きになってもらえるように頑張りますね!」
照れくさそうに頬を染めながらそう言う彼女に。
俺は思わず頭を撫でた。
「十分、好きになってるよ」
口をついて出た言葉は、きっと本心。
ああ、ちゃんと好きになれたんだ。
もう、恋はできないと思ってた。
あの恋を諦めたあの日から。
俺は進めないんじゃないかって思ってた。
「ありがとな」
そう言った俺に、一華は不思議そうに首をかしげた。