背伸びして、キス
心を落ち着かせて病室の扉を開けた。
そこには、ベッドとベッドの横に立つ人の姿。
ベッドの横に立つ人が振り向く。
「工藤さん・・・」
「早かったのね」
工藤さんはスーツ姿で、仕事の格好なんだと気付く。
洋介さんは職場で倒れた・・・。
そのことに少しだけホッとしてる。
こんな時に、私のバカ・・・。
「あの、よ・・・一条さんは・・・」
「過労だそうよ。安静にしていれば大丈夫」
「そうですか・・・よかった・・・」
「確かに、ここの所ずっと仕事が立て込んでいて毎日残業続きだったわ。それは一条くんだけじゃなく、他の社員もね」
「は、はい。企画が重なって忙しいんだって・・・」
ホッとした私に、工藤さんは話し始める。
洋介さんの姿を見たいのに、工藤さんがいるから見えないし、工藤さんの話も無視できなくて。