背伸びして、キス



「聞いてたのね。・・・聞いていたのに、理解してあげなかったの?」

「え・・・」




冷たい視線が私を射る。





「学生のあなたにはわからないでしょうけど。私たち社会人には責任があるの。遊びじゃないの」

「そんな事わかってます」

「一条くん、この間仕事途中で出ていった。あなたに会いに行ったんじゃないの?」

「それは・・・」

「一条くん、あの後仕事に戻って遅くまで残してた仕事を片付けていたのよ。私も途中で帰ったから何時までいたかわからないけど」




あの日、確かに仕事を抜けてきたと言った。
あの後遅くまで・・・。


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