背伸びして、キス


心が荒みそうだ。
一華にあいてぇな・・・。




スマホを取り出し、電話をかける。
倒れた日から、何度かメールを送ったけど、返事がなかった。


もう夏休みも終わった頃だし、忙しいのかもしれない。
でも、今まで返事が来なかったことなんかなかったんだけどな・・・。



何度目かのコール音でようやくつながった。



――もしもし

「もしもし。一華?元気か?」

――・・・はい

「どうした?なんか、あったか?」

――洋介さんは?・・・元気だった?





電話口の声が、いつになく沈んでいるような気がして。
でも、一華はそれには触れずにそう聞いた。



「俺・・・?ああ・・・元気だよ」




この間倒れた、そのことは言えなかった。
自分の健康管理が甘くて倒れた、なんて恥ずかしすぎて。
一華の前ではかっこいい俺でありたいと思う。




< 188 / 351 >

この作品をシェア

pagetop