背伸びして、キス
「いつになったら俺のところに来てくれるの」
新年最初のバイトの日。
時東さんが頬を膨らませながら言った。
「行きません」
「なんで」
すっと横を通り過ぎようとした私の行く道を塞ぎ、さらに問い詰める。
私は視線をすっとあげると、時東さんと合わせた。
「まだ、洋介さんの事が好きだから」
私ははっきりとそう告げると手で体を押しやってフロアに出た。
フロアに出てしまえばお客さんの目があるし、時東さんも余計な茶々を入れない。
カランカランと来客を知らせる音が響き、丁度フロアに出た私はそのまま入口に向かった。
「いらっしゃいませ・・・あ・・・」
「や、一華ちゃん。久しぶり」
「えと、槙原さん。お久しぶりです」
穏やかな笑みを浮かべた槙原さん。
今日はシェフのお仕事お休みなんだ。