背伸びして、キス


「で、なんて答えたの」

「・・・俺が大人だから、よく見えるんじゃないのかって。今しかできないことにもっと目を向けたほうがって」

「あんた、バカね」



ぐさりと、刺さるような言葉を吐かれガクッと頭を垂れた。
やっぱ、ひどかったのか。
でも、高校時代っていうのは、今思ってもすごく大切な時間だし、貴重な時間だった。
それを、大切にしてほしいって思ったんだけどな。



「好きだって思って告白してるのに、その返事が今を大切にしろって・・・。そんな風に断られて納得できると思う?」

「それは・・・」

「断られるにしたって、そういうことじゃなくて、ちゃんと一条くんの気持ちで言われた方が納得できるでしょうに」

「俺の気持ち・・・」




俺の、気持ちか・・・。



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