背伸びして、キス
「例えばよ。少し違うけど。一条くんが、例えば私に告白してきたとする」
「・・・はぁ」
「その返事が、職場の先輩でよくしてもらってるから勘違いしたんじゃないの?もっと他にいい女なんてたくさんいるんだからちゃんと周りをよく見てみたら。・・・って言われたらどう思うの」
「・・・納得、できませんね」
「でしょ」
俺はバカか。
自分の立場に置き換えてもらわないと気づけないなんて。
そうか・・・。
俺は、一華の想いを疑って、否定してたんだな。
好きな気持ちって、そんな単純なもんじゃない。
それを、俺が一番知ってたはずなのに・・・。
――洋介がいてくれてよかった。幼なじみで、本当によかった
ぐ、と拳を握りしめる。
蘇ってきた感情に蓋をするように目を伏せた。
「一条くん?」
「―――あ、いえ。ありがとうございます」
「まぁ、いい意味でも悪い意味でも、女子高生なんてまだ子どもだしね。立ち直りは早いんじゃない?」
そうだろうか。
そうなのなら、俺だって、あの時にやめておけばこんなにも縛られずにいられただろうか。