Where it is stuckー滞っている場所ー
第一章 相田比奈
「昨夜、8時頃、相田比奈という女性に声をかけたか?」


枕崎は、望月に慎重に聞いた。


だが、望月は首をかしげた。


「昨日の、8時・・・ですよね?」


「ああ」

 
雲行きが怪しくなってきたのを悟ったのか、枕崎の表情が険しくなる。


だが、はっとした様子で、口を開いた。


「彼女は、君の名刺をもっていたぞ。」


と、枕崎は胸ポケットを探り出した。


はいよ、と枕崎が取り出した名刺には、はっきりと“望月藍斗”と記されている。


「へー。望月って、名刺なんて作っているんだな。」


高崎が、平子の横から身を乗り出し、馬鹿にするように言い放った。
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