夫の教えるA~Z
「チッ」

「ふっふっふ。さあ!かかってきなさい。
確かアンタ、私に一回も勝てたことなかったわよね」

夏子さんは、テコンドーの有段者だ。 
対する彼、腕っぷしは今一つ。

ボッコボコにされて、本当にブサイクになったらどうしよう。

私は急にソワソワし始めた。


「くっ…」
「さあ。そっちがこないのなら、こっちからいくわよ!」

夏子さんが飛び掛かったのだろうか。


ガタンッ、バタンッ!!!


争うような大きな音が聞こえ、私はギュッと目を閉じた。

…………


しばらくすると、音が聞こえなくなった。
どうやら、決着がついたようだ。


「……ったく、バカ姉が。
お前に勝てなかったのなんて、…一体いつの話だよ。
成人の男に力で敵うわけがないだろうが」

「くっ……」


「彼女は上だな」


ホッとしたのも束の間。

トン、トン。

階段を上る足音が、こちらに近づいてくる。

どうしよう。
秋人さんが、来てしまう。

私は急いで立ち上がると、ドアの後ろに張り付いた。
< 158 / 337 >

この作品をシェア

pagetop