夫の教えるA~Z
「ああ、情けない。
あんたには…女の気持ちなんて一生分かんないわよ…」

感傷的に声を震わせた姉貴。
その表情がふと少し気になったが、その時の俺には意地のほうが勝った。

「はあ?何を抜かす。お気遣いの秋ちゃんと言われたこの俺が、冴え渡る心配りでどれだけの女を虜にしてきたと…がはあっ」

今度はキレイに股間に決まった……

「はぁ…救いがたいわ。
と に か く!
トーコちゃんのバイトはもう決定事項だから。…あとね、一応言っとくけど。
彼女に頼んだのは事務仕事で、インストラクターじゃないから。
あんたがどんなエロ妄想しようとね」

「お、…俺は…そんなの…認めない…ぞ」

冷や汗をかきながら床に這いつくばる俺を、ゴミでも見るかのように見下ろし、姉は、冷ややかに告げた。

「ふん、何とでもお言い。認めないなんて、私が認めないんだから。
…もし、トーコちゃんを無理やり止めるようなことしたらね」

彼女は、精一杯にためてから、低い声でそれを告げた。

「あんたのあんなことやこんなこと、全部トーコちゃんにぶちまけるから」

「ぐっ…」


…詰んだ。
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