夫の教えるA~Z
「…さあな。姉ちゃんがあの調子だから、あとは松田次第だろ。
大体、ここまで俺らにお膳立てさせといてよ、『不調に終わりました』じゃ割に合わねえ。…あいつ、マジでコロす」

「アハハ…。まあ、アキトさんに至っては、見事にぶっ飛ばされてましたらかねー」

「くそ、あの脳筋ゴリラめ…普通、あそこまでやるかっての」

俺がまだ少し熱を持つ頬に触れてると、トーコがフワッと微笑んだ。

「でもね、ちょっと意外だなって思いました。私今まで、オオカミさ…アキトさんって、もっと要領いいタイプだと思ってたんですよねー」

「うん?」

「…それが、自分が叩かれてまで、夏子お姉さんのためにあそこまでするなんて。
普段は悪態ばっかついてるのに。
…ちょっと、惚れ直しちゃったかも。…キャッ♥️」

「ト、トーコ…」

ゴクッ。
少し恥ずかしそうに顔を両手に埋めた奥さんがあまりに可愛かったので、つい出そうになった右手を慌てて引っ込めた。

危ない危ない。折角株が上がったところだ、ここはカッコよく終わっておかないと、後に続かない。

お楽しみは、食後にとっておくタイプなのだ俺は。
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