夫の教えるA~Z
俺は、ここぞという時に使用するキメ顔、"ちょっぴり照れくさそうな苦笑い"で応えた。

「…さてと。あの二人はどうせしばらくかかるだろうし。
今日は久々に外食でもして…ゆっくり帰ろっか?」

「ハイ!トーコは今、豚骨ラーメンの気分です!」

そう言って勢い良く手をあげたトーコに、今度は本当の苦笑い。

やれやれ、久しぶりのデートなのに、もうちょい洒落たチョイスはないもんかね。

でもまあ、その気取りのなさが彼女のいいところでもあり、俺が自分を偽らないでいられる所以なんだろう。

おずおずと伸ばしてきた彼女の左手を腕に巻き込むと、近くのラーメン屋に向かい歩き出す。
身長差のある彼女との、ちょっぴり斜め姿勢での歩き方にももう慣れた。

勢いで結婚してそろそろ1年。
不思議なことに、あの頃よりずっと君が好きになってる。

そして、これからもきっと、俺はもっと君を好きになる。そんな気がする。

自分でも、少し怖いくらいに。






…あれ、俺ってばこんな一途だったっけ?


《Yおわり》
< 327 / 337 >

この作品をシェア

pagetop