夢の続きは隣の部屋で…
『はぁぁ~、、あの人ちょー苦手だよぉ。。なんであんなに怖い顔ばっかするんだろ。もっと宅配便のお兄さんみたく笑顔でいればいいのに…』
トボトボと階段を上りながら、しょんぼりと肩を落とす。
『でも、同じ年くらいかな?今度あったときは笑顔で話しかけてみようかな…』
なんて前向きに考えながら乃里花の部屋がある4階に着いたちょうどそのとき、エレベーターのドアが開き、ゴミ捨てを終えたたくとが降りてきた。
「あっ、、!あのっ、すみませーん!!」
たくとは乃里花の存在に気付かず、前をどんどん歩いていってしまう。
すかさず声をかけることにした。
「えっと、、、私、昨日ここに引越して来た秋元乃里花って言います。あの、お隣さんですよね?よろしくおねがいしますっっ!!」
廊下中に響き渡る乃里花の大きな声に、たくとは足を止め、振り返った。
しばらく目と目があう。
「…」
「…えっと、、なん、でしょうか?」
一瞬、綺麗な瞳に吸い込まれそうになった。気だるげだがしっかりとしたその目は、世界を止める能力でもあるのだろうか。
「はっ…!?うわっ、だっ!!けっ、けっ、、」
我に返った乃里花は、急に大慌てて自分の顔を手で覆う。
「けっ、化粧、、とかしてなくて、すっぴんで、だからっ、その、あんま見られてもっ、その、、」
「お前、今まで化粧とかしてたタイプじゃねーだろ」
「うっ…」
図星。まさしくその通りです。