夢の続きは隣の部屋で…

『はぁぁ~、、あの人ちょー苦手だよぉ。。なんであんなに怖い顔ばっかするんだろ。もっと宅配便のお兄さんみたく笑顔でいればいいのに…』

トボトボと階段を上りながら、しょんぼりと肩を落とす。

『でも、同じ年くらいかな?今度あったときは笑顔で話しかけてみようかな…』

なんて前向きに考えながら乃里花の部屋がある4階に着いたちょうどそのとき、エレベーターのドアが開き、ゴミ捨てを終えたたくとが降りてきた。


「あっ、、!あのっ、すみませーん!!」

たくとは乃里花の存在に気付かず、前をどんどん歩いていってしまう。
すかさず声をかけることにした。

「えっと、、、私、昨日ここに引越して来た秋元乃里花って言います。あの、お隣さんですよね?よろしくおねがいしますっっ!!」

廊下中に響き渡る乃里花の大きな声に、たくとは足を止め、振り返った。


しばらく目と目があう。

「…」

「…えっと、、なん、でしょうか?」

一瞬、綺麗な瞳に吸い込まれそうになった。気だるげだがしっかりとしたその目は、世界を止める能力でもあるのだろうか。

「はっ…!?うわっ、だっ!!けっ、けっ、、」

我に返った乃里花は、急に大慌てて自分の顔を手で覆う。

「けっ、化粧、、とかしてなくて、すっぴんで、だからっ、その、あんま見られてもっ、その、、」


「お前、今まで化粧とかしてたタイプじゃねーだろ」

「うっ…」


図星。まさしくその通りです。

< 14 / 101 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop