夢の続きは隣の部屋で…

「にしても拓登と乃里花ちゃんがお隣さんとはね~!」

リビングに置かれた黒革のソファに腰かけながら、颯太は冷蔵庫から取り出した缶コーラを飲む。
乃里花はその下に敷かれたカーペットの上に正座すると、ゆっくりと部屋中を見渡した。

ちょうど乃里花の部屋と反転した作りになっている拓登の部屋は、黒を基調とした家具が統一感と大人の雰囲気を演出し、シックでとても格好いい。
洋室へのウォールドアは閉じられているのもあってか、散らかった箇所が全くない。


「拓登、色んな女うちに連れ込んでるみたいだから、気をつけなよ。俺とか悠果がいないときは絶対こいつんち来ないほうが良いから」

「あっ…みたいですね。そう、します」

颯太はソファから降りて乃里花の近くにくると、小さな声で忠告してくれた。
確か前にも同じようなこと悠果に言われたな。乃里花はそう思いながらも素直に答える。

「おい颯太!変なこと言ってんじゃねーよ、刺すぞ」

キッチンに立つ拓登から大きな声が飛ぶ。
拓登は制服の胸元を少し緩め、腕まくりをして、包丁をかざしていた。

「は~い、ごめんなさーい」

颯太は言葉ばかりの謝罪をして再びソファへと座ると、ヘヘっと笑いながら頭をおさえる。


「…お前も真に受けるなよ」

ボソっとつぶやきながら、拓登は紅茶のはいったマグカップを乃里花に手渡した。

「えっ?あ…ありがとう」

あまりにも小さな声だったので、乃里花は一瞬聞き間違えかと思い拓登の顔を見たが、真意のほどはよく分からなかった。
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