夢の続きは隣の部屋で…
再びキッチンへと戻っていった拓登を横目で見ながら、乃里花は紅茶に口をつけた。
「…美味しいっ」
ダージリンの芳醇な香りに、すこしだけ入ってる砂糖が絶妙な味を演出している。口いっぱいに広がる紅茶の味に、乃里花は頬を緩めた。
「乃里花ちゃんって、彼氏とかいるの?」
テレビのリモコンを手にポチポチとチャンネルを替えながら、颯太が突然そんなことを聞いてきた。
「…いない、けど」
「そっか!…よかった」
「え…っっ」
乃里花が素直に答えると、颯太はニコッと嬉しそうな表情を見せた。その笑顔に、乃里花は自分でも驚くくらいドキッとした。
「じゃあさ、今度の日曜、俺とデートしない?」
「うぇ!?」
突然の誘いに、乃里花は思わず紅茶をこぼしそうになる。
「東京まだまだ行ったことない場所たくさんでしょ?俺が案内してあげよーと思って♪」
「えっ、あっ、うん!!」
嫌な気はしなかった。
むしろデートという言葉に心がポッと温かくなる。
乃里花は一瞬だけ拓登のことが気になり、チラッと横目で見たが、こっちの様子は一切気にすることなく、キッチンでなにやら作っているようだった。
無反応の拓登に、すこし残念な気持ちもあったが、颯太からの誘いは素直に嬉しく感じる。