ぼっちな彼女と色魔な幽霊
「大したことあるじゃん」
「……えっ?」
「だって可愛いし」
ケロリとした顔で才伽ちゃんは答える。
「……」
図書準備室の扉が開くと、遠矢くんが入ってきた。
わたしを見て「今日もいる」と邪険そうな表情で呟いた。
「お……邪魔してます」
「秀一ー。入部……じゃないや入会希望だってー!」
才伽ちゃんは、まるでわたしがポイントカードの入会をするみたいに、遠矢くんに声をかけた。
「えっ?」
「あれ違かったの? 図書委員に入りたいんだと思った」
「……」
「本好きなんでしょ? しおりとか作るの好きなんでしょ?ならサイコーじゃん」と彼女は笑った。
「……うん。入って一緒に広報やりたい」
ドキドキしながらだけど、言えた。これが自分の気持ちだったんだと思った。
本当にしたいことだから伝えて、あの日のミサンガみたいに蔑ろにされるのが恐かったんだ。
ふぅと遠矢くんは溜め息を吐いてから冷たく言った。
「俺も新も才伽もやる気ないよ?」
「……」