ぼっちな彼女と色魔な幽霊
それからヨウはしゃがむと、「棒倒しでもするー?」と、丁度いいサイズの木の枝を拾って見せた。
返事もしてないのに、山を作り出す。
「手、汚れるじゃん。ヨウは汚れないからいいけどさ」
ヨウは砂をつかむと、わたしに向かってかける。
「何すんのよ!」
「手なんか後で洗えばいいだろー。やりたいって言ったのはひな子なのに。俺とは違って生身の身体あるんだから、使えよな。つっまんねー奴だな。友達いないのもわかるわ」
「む……むかつく」と、砂山の前にわたしもしゃがんだ。
「じゃあ先、ひな子」
少しだけ両手で砂を取るわたしに対して、ヨウは大量の砂を取る。
「わっ。今、揺れたよね?」
「早く取れよ」
次も少し、ヨウも少し。様子を見ながら繰り返し砂をとる。そろそろ危ないかなと思ったら、案の定、わたしの番で棒が倒れた。
「あーっ!」
「へたくそ」
「もう一回!次は絶対勝つから!」
「いいよ。じゃあ三回勝負しようぜ。負けたら、砂に埋めるからな」と、また山を作りながら言うヨウ。
「それは無理に決まってるでしょ」
結局、三回やってわたしは一回も勝てなかった。
埋めるのは無理だから、代わりに帰りのコンビニで奢ることになった。悔しい。