毛布症候群
あたしが玻璃の年齢のとき、毎日のように苛々していた。
「マオの家行ってくる」
「え! 豪邸なんでしょ? お土産よろしく!」
「観光地じゃないから」
前に一度マオが風邪で休んだときプリントを届けに行った。住所を打ち込んでみると、少し広い公園の近くなのかと思って行ったら驚いた。公園じゃなくてマオの家だった。
「玻璃! 時間は!」
二階から聞こえるお母さんの声。洗濯物を干しているらしい。
「大丈夫!」と怒鳴るように玻璃が返事をする。
がちゃがちゃと食器を片付けて洗面所へ行く。
大丈夫って言ったくせに、ばたばたと家を出た玻璃を見送って、あたしはゆっくりと朝ごはんを食べた。