毛布症候群

『どうして? 話は聞いてるんじゃないんですか?』

小生意気な質問をぶつける。
御梶間先生はそんなのお構いなしに笑顔を見せた。

『ねえ、硝子ちゃん。好きな人はいる?』







雨が降っている。

季節は無情にも過ぎていく。カーテンの隙間から窓の外を流れる雫を見る。

「おはよ……?」

休日だというのに中学の制服を着ている玻璃を見て、カレンダーを確認してしまう。

「今日模試だから」

「行ってらっしゃい、数学は満点取ってきなよ」

「無理に決まってんじゃん。お姉ちゃんこそ早くない?」

今の発現お母さんが聞いていたら雷が落ちていたと思う。

けらけら笑いながら胸元のリボンを結ぶ。
あたしはそれが苦手で、よく縦結びにして苛々していた。


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