毛布症候群



マオの家は、前に見たとき以上に豪邸に思えた。

玄関先にマオが座っていて、あたしの姿を見て立ち上がる。足元に茶色と黒の交じる模様の猫がいた。

「いらっしゃい」

あたしの姿を見て庭の方へ行ってしまった。
マオの視線もそちらへ向く。

「ニケ、硝子とは同じ空気を吸えないわ! だってさ」

「ニケっていうの?」

「二毛猫だから、ニケ」

意外にも素敵なネーミングセンスに拍手を送りそうになった。送らなかったけれど。
マオが大きい玄関の扉を開く。白い床が大理石かどうか聞いたことはないけれど、あまり興味はないので、これからも聞かないと思う。

異様に生活感の薄い廊下を通ってリビングに入った。

「お邪魔してます」

仏壇のマオのお祖母ちゃんに挨拶をする。


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