毛布症候群

両親はいないらしく、広いリビングにぽつんと残された。マオがキッチンから紅茶を持ってきてくれる。

「スーパーに売ってる紙パックのだから」

「本当だ、お馴染みの味」

「硝子が休みに会おうっていうの珍しいね」

珍しいというか初めてだ。学校で話しても良いけれど、あたしがそこまで待てなかった。

「マオが、あたしよりひとつ年上っていうのは」

「おお、直球」

「あたしがみた、マオの夢と関係があるの?」

マグカップを持ちながら尋ねる。マオはちょっとだけ窓の外を見て、小鳥の囀りを聞いて、口を開く。

「フィナンシェ食べる?」

「食べたい」

「プレーンとチョコと何があったっけな」

立ち上がって、キッチンの方へ歩いて行く。



< 112 / 113 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop