毛布症候群
花とともに葬る。



「ヤグルマギク」

心の中で呟いていたはずの声が出ていた。そんなに大きな声でもなかったけれど、前を歩いていた羊佑が立ち止まって振り返る。あたしの視線の先を見た。

「青い」

小学生のようなそのままの感想に「そうですね」と返す。

「ネアンデルタール人が埋葬の時に一緒に入れたとされる」

「よくご存じで。さすが頭の良い荻野くんは違うわー」

「……なに怒ってんの?」

あたしは片手に持った空のバケツをぶんぶんと振りながら、「青いものは綺麗だっていう概念はあったのかな」と言ってみる。

心地よい風が髪を撫でる。眠さを誘う天気と気温。
マオが午後の授業全て眠っていたことを思いだした。

「花を手向けることは別れを意味してると思う」



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