無糖バニラ
そっか、なるほど。

納得をしてから、また気づいた。


ひとつの土鍋に、ひとつの受け皿。
そして、ひとつのれんげ……。

これは、このままだと間接キスになるのでは……。


れんげを持って、また翼を見る。


「?なに」

「ううん……」


訝(いぶか)しげに表情を返されて、あたしは土鍋に向き直った。


翼はきっとこんなの全然平気で、気にしてるのはあたしひとりだけなんだ。


ママの雑炊はいつも通りの味だったと思うけど、熱くてよく分からなかった。
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