無糖バニラ
ベッドの上。

翼に乗るように正面から近づいて、ぴったり額にさわるあたし。

なんだかすごい体勢になっている。


「っごめん!」


両手を上げて手を離し、慌ててベッドからおりる。


翼の顔が赤いのは、だから熱のせいだってば。

あたしの顔が熱いのは、……夏のせいとかじゃないけど。


やっぱり、なんか、あたしおかしい……。


「い、いただきます!……って、本当に食べていいの?」


今の出来事をなかったことにするように、わざと大きな声で言う。

土鍋の前で手を合わせてから、気になって翼の顔を見た。


「せっかく作ってもらったのに、残すの悪いから。少し食ってもらった方が助かる」
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