無糖バニラ
*
「な、なにそれ……」
話を聞いていた仁奈は、青い顔で口元を引きつらせた。
「ごめんね、重い話しちゃって」
「いや、明るく言うな!」
あたしにツッコミを入れたあと、仁奈は恐る恐る傷跡に触れて、
「も、もう痛くないの?」
「うん、平気。大丈夫」
「このはとは中学違うけどさ、そんな事件あったならうちの中学でも噂聞こえてきそうなのに……。全然知らなかったよ」
「あー……、おっきくしたくなかったから、地面に落ちてたカッターに自分から刺さったことにしたんだよね」
「そんな嘘くさいの、誰も信じないでしょ」
「んー、ビミョーかな。生徒で見てる人はいなかったからバレなかったし、先生も問題にしたくなかったっぽくて、結構簡単に済んだよ。ほら、受験生だったし。色々」
「もう、このはぁ……」
仁奈が、泣きそうな顔であたしを見る。