無糖バニラ
小嶋くんの顔を確認しようとしたその時。


「アイリから聞いたんだけど。付き合ってんの?」


思わぬ人の名前に、あたしは目を丸くした。

仁奈と教室を出る前に、一緒にいたその友達に、反射的に目を向けると、


「付き合ってたんでしょ?さっき廊下で話してたじゃん」


特に悪びれた様子もなく、ニコッと笑われた。


ひどい。立ち聞きしていたなんて。

ううん、周りに気を配れなかったあたしのせいだ……。


聞かれてたって、どこからどこまで?

戻る直前は、確かに仁奈しかいなかった。

この、傷のことも……?
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