無糖バニラ
目の前には、あたしを庇うように大きな背中があった。

もちろん、助けを求めたその人がいたわけではなくて……


「だよね、内海」


小嶋くんが、振り向いてニコッと笑った。


「小嶋く――」

「うそっ!ふたり付き合ってたの!?」


あたしの声に被せて、女子の黄色い声が上がる。


付き合ってるって……、誰と誰が?

そこにいるのは、小嶋くん。

あたしと……小嶋くん?


「……。……えっ!ちが――、んむっ」


思わず否定しようとすると、すぐさま小嶋くんに、口を手で塞がれた。
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