無糖バニラ
有無を言わさず、翼は再び窓を閉めようとする。

半分まで閉まったところで、あたしは慌てて引き止めた。


「待って!具合良くなった!?」


手が止まり、


「……ああ」


一言。

それでもいい。
会話をしたという事実だけで、安心出来る。


「よかったね」

「……」

「ねー、懐かしいね。前はわざわざ外から入るのめんどくさくて、ここの窓から移動してたよね。今だったらちょっと怖いかも」


閉まっていた分の窓がまた開いて、翼はあたしをまっすぐに見た。


「だからさ、お前はなんでそうやって話しかけてくんの」
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