無糖バニラ
翼は無言で目をそらす。

その態度が、肯定を表しているような気がした。

あたしに、翼を嫌いになって欲しい……。
何のために?


「じゃあな」


また翼が窓を閉めかけて、


「あっ!あたし、小嶋くんに告られました……!」


つい、今日の出来事を叫んでしまった。

だけど、そのおかげで踏みとどまってくれた。


「いつまで言ってんだよ。知ってるっつーの」

「それじゃない。今日……改めて……」


あたしはこれを翼に言って、どうするんだろう。

「やめろよ」とでも言ってくれると思ってるのかな。

そんなはずないのに。
< 169 / 461 >

この作品をシェア

pagetop