無糖バニラ
「……で?」


翼は、つまらなそうに窓枠で頰杖を突き始めた。

少しは興味あるふりくらいしてほしい。


「少し時間を下さいと……言いました」

「お前、前もそんなこと言って延ばしてなかったか」

「うん……」

「好きじゃないなら、とっととふってやれよ。気ぃ持たせて残酷なことすんな」


翼の言葉に、隠しきれずにムッと表情に出してしまう。

翼だって、あたしのこと嫌いなくせにキスとかしたくせに。

気を持たせるためじゃなく、嫌がらせだったのかもしれないけど。


「だって、小嶋くん、あたしのこと助けてくれたから」

「助けた?」

「あ……」


また失言。

翼絡みだったからこそ、本人に知られてはいけなかったのに。
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