無糖バニラ
「なんだよ、助けたって!お前、危ない目にでもあったのか」


窓から体を乗り出す勢いで、翼が真剣な表情を見せる。

あれ?これって……、心配してくれてるの?


「あの、えっと、大したことじゃないんだけど……」


だめだ。

その場限りで誤魔化したとしても、翼は小嶋くんと友達だから、いずれバレてしまう。


「……昨日の相合傘が……見られてて」


あたしは覚悟を決めて、真実を話すことにした。



ひとつの傘で帰ったこと、幼なじみだという事実がバレてしまったこと、小嶋くんが付き合ってるふりをして助けてくれたこと。

今日の出来事を一通り話し終えると、翼は青い顔で黙り込んでしまった。

また具合悪くなっちゃったかな……。
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