無糖バニラ
おかしいよ、翼。

そんなの、嫌いな相手に向ける表情じゃない。

だから、あたしは懲りずに何度も話しかけてしまう。

また、いつか、昔みたいにって。


「で、どうすんだよ」

「何が?」

「小嶋。付き合ってるとか、皆の前で言ったんだろうが。これからどうすんだ」


ちょっと優しくなったと思ったのに、今度は一変して不機嫌そう。

翼の感情のスイッチはよく分からない。


「うん……、取りあえず、今度の日曜日にデートすることになった」

「はぁ!?」

「だからさ、翼も一緒に行こう」

「行かねーよ!」

「えー……、行こうよ」
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