無糖バニラ
タイツの色は黒いけれど、下着が透けて見えないわけじゃない。

仁奈が直してくれた後でも、あたしはスカートを押さえて、座り込んだままその場から動けなくなってしまった。


「そこ、冷たいでしょ。はい、手」


小嶋くんが苦笑いで手を差し伸べてくれた。


小嶋くんにも、見られたり……した?

羞恥心から、その手を取れずにいると、


「だから言っただろーが」

「あ!」


呆れた様子で、翼があたしを抱き上げた。


「ありが……」


お礼を言いかけて、気づいた。

「だから言った」っていうのは、朝のスカートの話?

あれは、寒いからとかそういうことじゃなくて、今のを予知していたのだろうか。
< 191 / 461 >

この作品をシェア

pagetop