無糖バニラ
――ガチャ、リンリーン。


お店の入口が開いて、お客様が来店したのかと、麦茶のグラスを慌てて隠す。


「ただいま」


……翼だった。


視線が合って、見開く瞳を確認して、あたしは目をそらした。


「は?なんでお前がここに」

「こら、そんな言い方しない!無理言ってレジにいてもらってるんだから。翼もお店手伝って、ほら」

「うわ、ちょ、母さん」


翼ママが、状況を理解していない翼を引き込んで、あたしの隣に立たせる。

甘い香りで溢れている店内でも、やっぱり翼は一際(ひときわ)甘い。
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