無糖バニラ
「今日もバニラクッキーないんだね」


翼ママに真実を聞いた上で、こんなことを尋ねてみる。


「あー……、厨房に転がってたかも。あとで母さんから貰えば」

「ありがと……」


それはきっと不格好な見た目で、何よりも甘いバニラ。

お互いに、知らないふりをしている。変な感じ。


チラッと横を盗み見る。

見上げないと、横顔が目に入らない。

目線が同じだった頃なんて、もうずっと昔のことみたい。


「っ……」


好きな気持ちが溢れると、以前言われた言葉が突き刺さって、すぐに心にブレーキをかける。


――『俺は幼なじみなんか嫌だ』

――『好きなんて言ってない』
< 267 / 461 >

この作品をシェア

pagetop