無糖バニラ
いくら人から嬉しい言葉を聞かされたところで、本人に言われた言葉は何倍も鋭い。

翼に避けられはじめたのは、腕を切られたあの日からだったけれど、「幼なじみなんか嫌だ」と言われたのはその前だった。

あの事件があってもなくても、こんな日は来ていたんだと思う。

今、隣にいることも、翼自身はどう思っているのか……。


「こんなところにケーキ屋さんなんてあったんだねー」

「学校から近すぎると、むしろ行かないよね」


お店の外からそんな会話が聞こえて、翼があたしの口を塞いだ。


「んんっ!?」


そして、肩を抱いたと思ったら、すぐに床に座らされた。

レジ台の裏。
売り場から隠れたその場所から、あたしたちの姿は見えない。
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