無糖バニラ
小嶋くんを好きになると決めたあたしが、他の男子とふたりで登校するなんて、多分よくないことだと思うから。

その相手が、幼なじみだとしても。


あたしは翼の返事を待たず、通学路を走りだした。


本当は、昨日のキスの理由を聞きたい。

でも、知りたくない。


「意味なんてない」と言われてしまったら。

「好きだから」以外の理由だったら。

高確率でその返事を貰うことは分かっているから、それが現実になってしまえば、いくらあたしでも立ち直る自信はない。


息が切れてきて、立ち止まって、呼吸を早くして小休憩。


「はぁ、はぁ、はぁ……」

「体力無いな、お前」

「!?」


背中から聞こえた声に振り返ってみると、後ろを歩いていたはずの翼が。
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